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なぜ「心の成長」が必要なのか?成人発達理論の観点から組織開発を学ぶ

「組織を成長させたい」とする時、往々にしてすぐに成果を求めて「即戦力になる人」を採用することが多いと思います。

しかし、それしか手段はないのでしょうか。私たちSpreadyの「雇用を前提としない人探し」サービスは一見遠回りのように見えますが、「社外の知見を取り入れたら事業スピードが上がった」という事例もあります。採用だけにとらわれるのではなく、より柔軟に社外の手を借りることが組織の成長に役立つことがあると考えています。

このような組織や人の「成長」を学問の観点から研究する発達心理学に、「成人発達理論」があります。アメリカでは、人材育成や人事評価にも使われていて、日本でも少しずつ人材育成に取り入れてきている企業が出てきました。
今回は成人発達理論の実践書を出版し、人と組織の垂直的な成長を支援するプログラムを提供する町塚俊介さんにこの発達理論に基づいた組織開発についてお話を伺いました。

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町塚俊介
リクルートに入社後、2015年に株式会社ライフノートを創業。つながりの力で人と組織が活きるを理念に、コーチングや組織開発を中心として、自分との関係、人と人の関係、人と企業との関係といった「関係性(つながり)のデザイン」を行う事業をしている。

ー組織を成長させる方法として「成人発達理論」がヒントや行動指針になるのではないかと思いました。まずは成人発達理論について教えてください。

成人発達理論は発達心理学という学問領域の中の一つの考え方です。発達心理学の重要なポイントが心の成長ですね。でも「心の成長」と言われても、ふわっとしていますよね。

人間の成長には2種類あります。例えば写真を撮るスキル、絵を描くスキル、医学の知識など、定量的に測りやすいものは「量的な成長」で、それは知識の成長、能力の成長として可視化されていて非常にわかりやすいのです。それは「水平的な成長」と呼ばれています。

一方で「垂直的な成長」と言われる「人間性が豊かになる」「器が広い」などは非常にわかりにくい潜在的でパーソナルなものです。心は成長しないと思われがちですが、実は成人以降も心は成長するんです。この心が成長することで視野が拡大します。

日本の企業では、目に見える「水平的な成長」ばかりに目が向けられる傾向にあります。そして企業におけるほとんどの人は、上司の意見や組織のルールには従うものの、自分の意見がない、といった段階で止まってしまっているので、なかなか心の成長ができる環境ではありません。

ー能力の成長と共に組織も一緒に成長できると思いがちですが、心の成長も組織の成長に助勢できるってことですか?

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そうなんです。もう少し成人発達理論について説明します。
ビジネス領域で活用されているのがロバート・キーガンの成人発達理論です。統計的に言うと、この「発達段階3」が一番多く70%と言われています。たぶん日本だと80%ぐらいの人がこの段階にいます。

この3の段階は「他者依存・慣習的段階」と呼ばれています。
例えば周りの人の期待や自分が所属しているコミュニティ、もしくは会社の中で是とされていることに従う、自分が他者から規定される段階です。

この段階は非常に善良な市民としての倫理観に近く、この段階の社会は安定すると言われているんですよね。 会社も同様に安定します。計画性もここで育まれる非常に大事な意識段階ですね。

一方で「保守的」と言われています。要はリスク耐性がないんです。もっと言うと、とにかく環境変化のリスク、新しい何かに出会うリスクを嫌うんです。
あとは基本的に他者や社会の物差しで決定します。自分の物差しがないので自己決定がなかなかできません。

これは発達段階3の特徴ですが、人も組織も同様に、世の中や所属している組織の慣習・当たり前から価値観を形成しています。

ゆえに、他者依存のステージに停滞する社員が増えてしまう状況は、既存の見方や考え方に留まろうとする力を組織内に生み出してしまうのです。

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ーだいたいの人が3であると、そこにいた方がラクそうですね。

ただ時代の変化に合わせて発達段階3の人は軒並み苦しんでいますよね。

日本は今までアメリカの真似をしつつ良い品質を出すことで勝ってきました。市場に求められている良質なものを作ればよかったという世界観から、次の創造的な何かを生み出さなければいけないところに時代や社会のフェーズはきています。

今、社会が複雑化していて、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況がVUCA(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)といわれています。

国や企業が示す生き方や働き方に則っていても、安定した生活が保証されてるとは限らない時代です。そうなるとここの3の段階にいると、社会の物差しで生きていくときついんです。

そこで最近求められているのは次の発達段階である「自己主導」というところのパラダイムです。

発達段階4の「自己主導」は統計的に20%ぐらいで、5人に1人が生涯を通じてたどり着くと言われています。この自己主導は自分の内側にある信念とか価値観、それに基づいてリーダーシップ、責任を持って人・社会を動かしていく本当の意味でのリーダーシップです。

たとえ、社会や周りの人が「表面的に違う」とか「やめた方がいい」と思っていても、自分がこれだと思ったり、これが誠実だと思うことに関してリスクをとって邁進できるのが「自己主導段階」といわれる段階ですね。

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ーすると、当たり前である環境から脱したい時、この発達段階4に移行しようとしているってことですね。

そうです。たとえば、自分が社内で置かれている立場が変わって管理職になったとしましょう。今までは企画や開発担当だった現場にいた人も管理職になればマネージャーとしての成長も必要になってきます。自分自身が伸び悩みを感じているとすると「なんとかしなきゃな」って思い始めます。

そこで、慣習的な考えから脱構築するためには、所属している環境以外の様々な考えに触れ、自分の所属している組織は絶対的なものではなく、相対的な1つの考えに過ぎないという事に気づくことが必要なんです。

今の社会システム上、多くの人を発達段階3に閉じ込めてしまう教育システム、企業システムなんです。だから本当はもう少し成長できるのに、そこで止めちゃってることは、僕は社会システム上の課題だと思っています。

発達のポテンシャルがある人たちはたくさんいるのに、支援環境が少なくて、そこで止まっちゃっている人もいるので非常にもったいないんです。

ーたしかに、自分自身を変えるきっかけとして、他の人の意見、他のコミュニティーを持つと自分が拡張する感覚があります。

そもそも新しい何かを生み出していかなくてはならない流れっていうこと自体は、社会的な背景としてどの企業も抱えている問題です。これを乗り越えていくには、小手先のテクニックで目の前の問題を解決するだけではなくて、やっぱり垂直的な成長である心の変容が、必要になるんです。

発達段階4にいくのは結構大変です。これまでの成功体験を捨て、自分の価値観の脱構築をしなければならないので、痛みを伴います。これは1人ではなかなか出来ないので、組織も人も適切な支援がポイントです。強制的に引き上げるのではなくて、その人に何が起こっているか、その人にとって適切な課題を一緒に考えた上での適切な支援をすることが組織にとっては大切です。

最後に1つ。成人発達理論は、「〜をすれば〜になる」という、単一的なものではありません。なので、盲信できる絶対法則ではなく、そのフレームワークを使って、内省したり自分で考えるツール、鏡として使ってもらうのが良いと思います。

ーありがとうございました。発達段階3から4において「慣習的な当たり前から脱して、自分の所属している環境をフラットに見つめ直すことが必要」ということがわかりました。発達段階4への引き上げ支援のひとつとしてSpreadyを使ってもらうことができそうです。

たとえば、以前インタビューさせていただいたナレッジマーチャントワークスの染谷さんは、自身で立ち上げた会社でエンジニアの組織作りに苦労をしていたそうです。以前は組織人事コンサルとして活躍されていましたが、エンジニアの組織を作ることは未経験だったのです。エンジニアが辞めてしまったことも背景にあり、Spreadyでエンジニアの組織作りについて社外からの知見を募集しました。その結果、サービスと共に急成長中の会社となっています。彼自身の成功体験を捨て、価値観の脱構築のために適切な支援としてSpreadyを活用していただきました。

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